お陰様でスウィーテスヘアは16周年を迎えました!
経ってしまうと「一年」は本当にあっと言う間に過ぎてしまいますね。気がつくと、子供の頃に習った「光陰矢の如し」という言葉が痛いほど分かる年齢も、とうに過ぎてしまいました。
今日迄の1年間に当店をご利用頂いた皆様、15周年のスウィーテスヘアはいかがでしたでしょうか? お客様にとって少しは満足して頂ける内容でしたか?
16周年を迎え、17年目に足を踏み入れる訳ですが、毎年の様にこうして未体験ゾーンに挑めるのも、これも一重にお客様やスタッフを始めとする全ての当店を取り巻く方々のお陰だと感じています。
この場を借りてお礼させて頂きます。いつもスウィーテスヘアをご愛顧頂き本当にありがとうございます。
本当ならば、「自分の力で勝ち取ってきた」的な方がカッコ良い様な気もしますが、実際は周りにいる全ての方々に連れて来て貰っている様な現状です。
それを思えば尚更のこと、周りにいてくれる人達やお客様には心から感謝しております。本当にありがとうございます。これから17年目は勿論ですが、18年、19年、・・・・と末永く皆様に気持ちよくご利用して頂ける様に精進して行きます。
16年目を迎えるにあたりお客様にお伝えしておきたい事
今更感満載な内容になってしまうと思うのですが、僕が普段「お客様」と接する時に心掛けている事や、“美容院”という「商売」についての考え方や思いみたいなのもを、自分への再確認の意味も込めて書き留めさせて頂きます。
当店をご利用になっていらっしゃるお客様の中には、ご理解や共感して頂ける方もいらっしゃるのではないかと思われる内容になるかも知れませんが、ご存知無い方や、もし先々当店をご利用になるかもしれない未来のお客様には「あの店のあの美容師はこんな考え方をするおじさんなんだ」と理解出来ると思いますので、当店を「選ぶ or 選ばない」の選択の時の参考にでもして貰えれば幸いです。
お客様と接する時の考え方
すでに当店をご利用頂いてるお客様には感じて頂いてると思いますが、実際に店舗での接客に関しては、物凄く耳障りの良い言葉で言うと「自然体で壁のない人間」である様にと心掛けているのですが、そう感じて頂けてるのでしょうか。
(※中身は自堕落で自分を飾る事に無頓着で、誰に対してもちょっと図々しいのは内緒です)
これは美容師を始めた頃から今までに、僕自身が体験や経験した事から導き出した「お客様と接する時の考え方」的な持論なのですが、
- いくら自分自身を相手にとって良い存在に見せる様に着飾ったり綺麗な言葉を使ったとしても、見える人には心の中まで見透かされてる
- 初めての人と接する時にはある程度の壁があるのが普通で、その壁の厚さには個人差があるが、こちら側に壁がある限り、その壁は無くならない。お客様の壁を無くす為にはまず、こちら側の壁を無くす
の2つの事を意識しています。
簡単に説明すると、1.については、自分自身がどんなに体裁を繕ったとしても、自分自身の人としての程度や本音等は分かる人には見透かされてしまうと思っています。もし、その人(相手)に映る自分自身が、ちょっと極端に言うと、「中身が空っぽ」な人として映ってるのに、それを必死で見透かされまいとして中身がギュウギュウ詰めに詰まってる様に見せかけたとしても、その人(相手)には滑稽にしか見えない事でしょう。
そこで、どうせ中身が「空っぽ」ならば始めっから「空っぽ」で体当たりして行くくらいの方が正々堂々としてて好きなので、出来るだけ自分自身を何かで繕ったりせずに、自然体(素)で接する事が出来るようにしています。
ただその為には、ひとつの覚悟の様なものが必要だったりします。
それは、「全ての人に受け入れて貰おうとは思わない事」です。こんな仕事をしていますので、出来れば全ての人に気に入って頂いて喜んで貰える事がベストなのは言うまでもありません。しかし、やっぱり人間と人間です。こちらは別に何も感じていないとしても、相手からしたら見た瞬間にマイナスの印象を感じ取られる可能性だって充分にあります。
かなり昔のエピソードで、韓流ドラマが大流行した時代の話なのですが、その当時一番人気の黄色いマフラーのメガネ俳優さんのファンのご年配(70代)のお客様に僕が冗談で
「もうちょっとうちの店も人気が出る様に○○様みたいに整形しようと思うんですけど」
って冗談のつもりで軽く言った瞬間に、そのお客様が
「しんさい!しんさい!お兄さんが○○様みとーな顔になったらようけお客さん紹介してあげるけぇ」
(※しなさい!しなさい!お兄さんが○○様みたいな顔になったら沢山お客様を紹介してあげるわ)
と、かなり真顔で言われました。(^0^;) 流石に「冗談ですよ〜!」って笑って誤魔化したのですが、もしかしたら世の中にはこんな風に思っている方も中にはいらっしゃるかもしれません。皆様が、と言う訳ではありませんが、中には「見た目」や「雰囲気」で判断される可能性も充分にあるし、その事に対して誰も責める権利もないと言う事と、僕が件の「○○様」とは似ても似つかないと言う現実です。
その辺りを踏まえて、最初から「100%の人に受け入れて貰う事は不可能、だから無理せずに自然体の自分を1名でも受け入れて頂ける方がいるなら全力で頑張る」的な感じで自分の中のハードルを大幅に下げる事によって力まずに「自然体」で仕事をさせて頂いてます。
自分を繕う事なく「自然体」で仕事をすると言う事は、仕事をする上では「かなり“楽”」に仕事が出来ているのでは?と思われたり、かなり「自由」な印象を受ける事だと思います。当店にご来店された事のある方はご理解頂けてると思いますが、ヘアスタイルを決めたりする為に技術的な事を分かりやすく説明したりする事はありますが、それに関わる事以外での「営業トーク」は一切した事が無い事にお気付きだと思います。
経営者的に、「売上げを伸ばさなければ」とか「商品を売らなければ」というビジネス的な思考をしないなんて、もしかすると人によっては「自殺行為」だと思われるかも知れませんし、確かにビジネス的に考えると「マイナス」かも知れません。「楽」で「自由」に見える反面こんな「リスク」も抱えてるんです。
以前にテレビの番組で有名な建築家の方が、「自由には常に責任が伴う」みたいな事をおっしゃっていたのですが、まさにそれです。「自由」にさせて頂いてる事に対しての「責任」がそういう事なんだと思います。
2.の人と人との間にある壁については、もう読んで頂いたそのままの意味で、ある意味では1.にも通じるものがあると思うのですが、人の持つ「壁」に対してこちらも「壁」で対抗してしまうといつまでもその「壁」は無くならないと思うのですが極端な話、こちらが全く「壁」の無い状態で相手と接する事で、その相手の「壁」の存在が原因で、例えば「風通しが悪くなっている」とか「見通しが悪くなっている」と言う事を気付くきっかけになれたのならば、それはとても素晴らしい事だと思いますし、人間関係を築いて行く為には大切な事なのではと感じています。
ただ、これも100%の方との壁を無くす事なんて到底無理な話ですし、その逆でいくらこちらが「壁」を無くしているといっても「分厚くて高い壁」が1mm足りとも薄くならない事だって当たり前の様にある事だと思います。何についてもそうだと思いますが、所詮人間がする事なので「完璧」なんて有り得ません。何でもかんでも「完璧」を求め過ぎてしまうと精神衛生上も良くないと思いますので、何事も「ぼちぼち」くらいで合格にしてあげても良いのではないでしょうか。
世知辛い世の中です。良く「人に優しく、自分に厳しく」と言ったりしますが、「人に優しく、自分にも少しは甘く」くらいの緩めの考え方でもなんとか生きては行けるような気がしますので皆さんももうちょっと気楽に生きてみてはいかがでしょうか。
美容師としてのビジネス(商売)観
「スウィーテスヘア」をオープンさせて頂いてから、この春で丸16年になるのですが、こんな感じで「ガツガツ」行かずに「ぼちぼち」とですがやって来る事が出来ています。
いつもこればっかりになってしまうので皆様も聞き飽きていらっしゃるでしょうが、今まで「スウィーテスヘア」を続けて来る事が出来ているのは、今日までに当店を利用して頂いた全てのお客様と、いつも側で支えてくれている家族や友人のお陰だと思っています。
自分の中での「美容室と言う商売」とは、僕らの仕事が技術料が中心と言うコトもあって、物を売る事が中心の仕事とはちょっと違う姿勢が必要だと思っています。
僕は、物を売るのがメインの仕事をした事が無いのでそちらについては詳しくはわかりませんが、「仕入れ値」に対し「利益」を乗せてその「商品」を売り、その差額で「儲ける」のが物を売る「商売」だと思いますので、消費者の方からするとついつい「仕入れ値」を想像してみたりしたりします。
それを踏まえた上で、その「商品」を購入する訳ですが、勿論「同じ商品」でもお店によって多少の料金の差はあったりします。でも美容院の料金の差は、どちらかと言えば広い方なのでは無いでしょうか。
例えば「カット」の料金ですが、この辺り(広島周辺)の事で特に調べた訳では無いので正確な金額では無いのですが、多分大人のカット料金で最安値は「¥1080」くらいだと思うのですが、逆に最高値は「¥6000」を超えている美容院も有ります。
同じ「髪を切る」と言う行為に対しての対価がほぼ「¥1000」と「¥6000」とかなりな差が有り、高額な方のカット料金で安価な方では6回カット出来たりする訳ですし、月一カットしに行ったとしても年間だと「¥1000×12=¥12000」、「¥6000×12=¥72000」と「年6万円」も差があります。気をつけて頂きたいのですが、これはどちらが良くてどちらが悪いと言う話ではなく、考え方、感じ方、価値観の話です。
一人ひとりの価値観によって「カット料金」は、例え同じだとしても「高い」と感じる方もいらっしゃるし、その逆に「安い」と感じる方もいらっしゃるでしょう。例え「¥1000」のカットでも「高い」、その逆に「¥6000」のカットでも「安い」と感じる方もいらっしゃいます。
消費者サイドから見るとこの「価値観」ですが、その逆に「美容室サイド」からみるとどうなるのでしょうか。
美容室の経営者の思い毎にこの辺りは違って来るとは思いますが、おおよそのラインとしては「この金額ならばお客様に納得して頂ける」と「商売として成り立つ」と言うラインと言うものが基準になっているのだと思います。そのラインの根拠は自分の経験や自信だったり、以前勤務していたお店の料金だったり、周辺の美容室の相場だったりと様々な要素が絡み合った上に決められたものだと思います。
しかし、その様々な要素が絡み合った上に慎重を期して決められた「料金」だとしても「高い」と感じる方もいれば「安い」と感じる方もいます。でも「料金」自体はそんなに頻繁に上げたり下げたり出来るものでも無いので、そこを基準にやって行くしかありません。
僕が思うそう言う状況で「美容師」として出来る事は、お客様に対して常に真摯に向かい合い、常に真剣に取り組むと言う事です。それにそれが付加価値と感じて頂けるかどうかは分かりませんが、お客様の為に出来る事は何でもやると言う事です。
先程言っていました「お客様との接し方」も、僕の中ではお客様に対して「真摯に向かい合う」と言う事の一つです。
この結果、お客様から「安い」とか「高い」と言う評価を下される訳ですが、この辺りも完璧にお客様の自由なので、こちらとしては当店にご来店して頂けたと言う事だけでも有り難い事で、その結果としてその中の何名かの方に喜んで頂き、俗に言う「リピーター」になって頂けるのならば、これ以上嬉しい事はありません。
まずは「料金」と言う美容師サイドが「貰う側」の話になりましたが、次はそれも含む「美容師とお客様」にとっての「ギブアンドテイク」のお話です。
ギブアンドテイク
僕が考える、「美容師がお客様に対して与えられるもの」は「技術」「時間」「付加価値」の3つだと常々思っています。
「技術」についてはそのまんまで、仕上がったヘアスタイルが気に入って頂けたとか、周りの方々から評判が良かったとかの直接的な美容師に対する評価だと思います。
「時間」に関しては、色々な見方と考え方があって、「施術にかかる時間」これは多分早いに越した事はないのだと思いますが、お客様の印象としては「極端に短時間」+「仕上がりが満足出来ない」=「雑にされた」としか思えなかったりするのが普通だと思います。
なので「その技術に必要な適正な時間」と言うものがあり、その中でキチンと結果を出さなければならないのだと思います。
ですが、それ以外に「時間」に関しては1つの考え方があって、その考え方は「その時間が有意義なものなのか」と言う事です。これも人によって取り方が様々で、「これが正解」と言うものは全くわからないのですが、美容室にいる間の時間の過ごし方と一言に言っても様々なシチュエーションがあると思います。
その様々なシチュエーションの中で過ごす時間が、ほんの少しでも良いので「楽しかった」とか「嬉しかった」等ポジティブな印象を持って頂けたなら最高だと思います。
3つ目の「付加価値」ですが、これはもう正直言ってなんだかわかりません。とりあえず「何かを感じ取って貰えたならば」と言う思いでやっています。その人が望んでいるのではないかと思われる事で出来る事はとりあえずやってみていると言う感じなので、実際に当店に来られているお客様に聞いてみないと「付加価値」を感じて頂けてるのか、それとも何にも感じて頂けて無いのかは正直なところわかりません。(^0^;)
とりあえず、この3つが美容師からお客様への「give(与える事が出来るもの)」だと思います。
逆に、こちらの「give(与える事が出来るもの)」の代わりにお客様から「take(得られるもの)」は、商売として「美容室」と言うものが存在してる以上必ず無いと成り立たないのが「お金」です。
ただ、これも持論なので確証はありませんが、美容師の中で本当に心から純粋な気持ちで「お金」だけが欲しくて「美容師」をやってる人は、まずいないと思います。逆に「お金」だけが欲しい人ならもっと効率良く稼げる仕事を選択するでしょう。
「お金」以外でお客様から美容師が「take(得られるもの)」は、お客様の「気持ち」だと思います。その「気持ち」は、時には「喜び」だったり「感謝」「信頼」や「期待」等様々な感情だと思うのですが、必ずしもポジティブな感情ばかりでは無いと思います。
ただ、美容師に対するネガティブな感情ってあまり表に出難い様な気がしてて、例えば初めて行った美容院でカットして、仕上がりに近づくにつれて自分のイメージと違って来た時に、出来るならばそうなる前に美容師が気付き、軌道修正出来るのが理想なのですが、100%それが出来るとは残念ながら言い切れません。
そんな時に、初めて来た美容院で、初めて会った美容師に伝えるのは本当に言いにくい事だとは思います。しかし、出来るのであれば遠慮なく伝えて頂いた方が有り難いのですが、それを伝えて頂けない様なケースも普通にあると思いますし、それをお客様に望むのは図々しい話なのかも知れません。
以前に初めてご来店されたお客様で、希望のヘアスタイルとビフォーのヘアスタイルがかなり違ってたので「雰囲気変えたかったんですか?」と聞いたところ、「同じ様にお願いしたのに出来上がりが違ってて」とそのお客様はおっしゃいました。お願いしたスタイルと違うスタイルになっていても、「直して下さい」とは言いにくかったのだと思います。これはたまたま他店でカットされたお客様が、当店にご来店されてその違い気付けたのですが、逆に当店でカットされたお客様が他店で同じように「同じ様にお願いしたのに出来上がりが違ってて」と言うケースもこちらが気付いていないだけで、実際はあるのかも知れません。
これがあるので上に書かせて頂いた様に「壁を無くしていく努力」を美容師はしていかなければいけないのだと思います。その結果お客様が「本音」で遠慮なくお客様の「思い」をぶつけて来てくれるのだと思いますし、お客様と美容師としては最高の関係なのではないかと思っています。
これを踏まえて書かせて頂くと、美容師の仕事は一人では出来ない仕事です。「美容師」と「お客様」がいて初めてそこに仕事が生まれます。仕事を進める為には「美容師」と「お客様」にはコミュニケーションが必要です。「お客様」が思う事を遠慮なく自由に伝えられる様な環境にする事も美容師にとっては大切な仕事で、それは場合によっては技術的な事よりも重要な事なのではないかと感じています。
今まで「美容師」と言う仕事を続けて来て、多くの方々から沢山の事を教わりました。その「師」は時には上司だったり先輩だったり、時には後輩だったり友人だったり家族だったり、でも、その中で一番多くを教わった(教わっている)のはやはり、「お客様」なのだと思います。
なんだかいつもと違ってなんとなくかっこいい感じの事を書いている様な気がしますが、一応はこの辺が僕の考えている「美容師としてのビジネス(商売)観」です。
普段、ここまでこんな内容を語ったりする事は無いし、書いた事も無かったので、たまにはと思ったのと、当店も節目を迎える時だったので書かせて頂きました。これを読んで誰かが得したり読む事の意味なんてそんなものは特に無いのかも知れませんが、これから先にまだまだ続くであろう僕の美容師人生に対する自戒の念を込めて書かせて頂きました。
これから17年目に新しい一歩を踏み出す「スウィーテスヘア」を何卒宜しくお願い致します。
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